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2016.03.28 UP!

ちゃんと理解しておきたい「不育症」のこと

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「不妊症」という言葉やその症状について、ここ数年で広く知られるようになりましたが、「不育症」という言葉はご存知ですか?まだまだ認知度は低いですが、「不育症」で悩まれている方も少なくはないのです。

今回はそんな「不育症」について少しだけご紹介したいと思います。

「不妊症」と「不育症」について

妊娠を希望しているカップルが1年間、避妊することなく性交を続けているのに妊娠しない場合を「不妊症」と言いますが、妊娠をしても、流産、死産や新生児死亡などを繰り返してしまう症状のことを「不育症」と言います。 2009年時点での日本での不育症年間患者数は7万人以上と言われています。

流産は女性の心と身体に大きく傷を残してしまう経験の一つだと言えるでしょう。妊娠できた喜びからのその落差は、計りがたいことだと思います。それが、不妊治療をしてようやく授かったという経緯であれば、尚のことでしょう。

不育症は、そんな経験の繰り返しなのです。

ただ、病気(異常)がないのにもかかわらず、不運にも流産を繰り返してしまうこともあるので、ここの違いを正確に理解しておくことは、とても大切なことのようです。それらを混同してしまうと、過度の不安を抱え込んでしまったり、不要な検査や治療を受けてしまうことになりかねないからです。

現実の問題として、不育症や流産のことについては、間違った情報が飛び交っています。そのために、誤解や思い込みがとても多いようです。

不育症について正しく知り、理解していくことからまずは始めましょう。

流産についての正しい知識

流産とは、妊娠21週までに妊娠が終わってしまうことを言います。すべての妊娠の約15%の頻度でおこっていて、そのほとんどは、妊娠11週までの妊娠初期におこっています。また、妊娠したことのある女性の40%が流産を経験しているとも言われています。

流産や不育症と年齢の関係

女性の年齢が高くなるほど、流産のリスクも高くなります。年齢と流産率の関係をみてみると、10代から30代前半まではほぼ横ばいで、35歳になると20%、そして、それ以降急上昇し、40歳で40%、42歳で50%に達し、42歳をこえると80~90%と言われています。

これは、女性の年齢が高くなるほど、流産の主な原因である染色体に異常のある卵子が排卵される割合が高くなるからだと考えられています。

流産には2種類の流産がある

流産には大きくわけて2つの種類があります。1つは、流産を引き起こす病気があり、そのために本来ならば生まれてくるはずの赤ちゃんが妊娠の途中で失われてしまうというケース。

もう1つは、おこるべくしておこる流産です。つまり、染色体異常などの問題が胎児側にあって、妊娠の途中で”淘汰”されてしまうケースです。

前者の”病気が原因で”流産が繰り返されるケースが不育症ということです。その原因を突き止め、しかるべき治療を施す必要があります。

逆に、後者の”起こるべくして起こってしまう”流産であれば、たとえ、繰り返しおこったとしても、治療の施しようがなく、防ぎようがありませんし、防ぐ必要もないと言えます。

多くの自然流産は自然淘汰によるものです。そこで、気になるのはそれぞれの割合です。その割合についてのだいたいの感覚をつかむことのできるデータがあります。

流産を繰り返した後、検査や治療なしで次の妊娠で出産できる確率

2回流産を経験した人が、何の検査も治療も受けず、次の妊娠で、80~90%の方は流産しないで、出産に至っています。 同様に、3回の流産を繰り返した人は、次の妊娠で、50~60%は出産に成功しているとの報告があります。

2回、3回と流産を繰り返せば、もはや、次の妊娠も流産になるだろうと思う方は少なくないでしょう。

ところが、実際にはそんなことはないのです。

要するに、2回流産を繰り返しても、その8~9割は不育症ではなく、たまたま、流産が続いただけで、たとえ、3回繰り返しても、半分以上は、たまたまだというわけです。

このことから不育症の頻度は、2回流産が続いた場合で10~20%以下、3回続いた場合でも40~50%以下と考えられるのです。

たとえ、流産が2回、3回と続いたとしても、必ずしも、不育症であるとは限らないというわけです。

不育症の検査について

不育症検査を受けるタイミングについてですが、一般的には、2回続いたら、検査を受けるように勧められています。ただ、実際には、流産が2回続いたとしても、不育症であるケース、すなわち、何らかの異常が隠れているケースのほうが圧倒的に少ないわけです。

年齢的に35歳以下で、流産を引き起こす可能性のある病気などがなければ、それほど神経質に考えなくてもよいのかもしれません。

もしも、3回流産が続いても、不育症である確率はそれほど高いものではありませんが、やはり、信頼のおける不育症専門の先生に相談しておくのが安心だと思います。

検査結果をポジティブに受け止める。

不育症の検査を受けても、必ずしも原因が判明するとは限りません。厚生労働研究班による不育症のリスク因子別の頻度では、原因不明が64.2%とされています。

このように、検査を受けても、何も異常が見つかれない場合、どのように受け止めればいいのでしょうか?

それは、「原因不明の不育症」ではなく、「偶発的に流産が繰り返された」、すなわち、たまたま、避けることの出来ない自然淘汰が、不運にも続いただけと受け止めるべきではないでしょうか。
もしも、不育症の検査で原因が見つからなければ、自信をもって、次の妊娠にチャレンジすべきでしょう。

不育症の治療について

不育症の原因にはどんなものがあるのでしょうか。主な原因は、夫婦のどちらかに染色体異常があることや、子宮の形が悪いこと、そして、自己免疫異常により、抗リン脂質抗体という自己抗体をもっていることとされています。

もちろん、不育症が起こるメカニズムは、決して、単純なものではありませんから、リスクになる因子は多岐に渡るはずです。

ただ、頻度が高く、適切な治療や対策を講じることで、明らかに妊娠成功率が高くなるのは、これらの3つに集約されるようです。
以下にそれらの治療法をごく簡単にまとめてみます。

1.夫婦側の染色体異常によるもの

夫婦のどちらかに染色体異常があれば、流産しやすくなると言われています。転座といって、染色体の一部が他の染色体の一部と入れ替わった異常です。

流産を2回繰り返すカップルの約4%、3回繰り返すカップルの約7%に、染色体異常がみつかるとされています。

[治療法]

染色体異常に対しての根本的な治療法はありません。

ただ、夫婦側に染色体異常があれば、100%流産になるわけではありません。夫婦のどちらかに染色体異常があったとしても、健康なお子さんをもつ可能性が半分以下になることはありません。

たとえば、3回の流産を繰り返し、夫婦のどちらかに染色体異常があるカップルが、次の妊娠で出産に至る確率は63%と言われています。

染色体異常のないカップルに比べれば低いものの、決して、悲観すべき確率ではありません。

2.子宮奇形によるもの

不育症全体の約15%くらいとされています。

女性の子宮の形は顔と同じで、多かれ少なかれ、異なるようです。ただし、奇形だからといって、必ずしも、流産するとは限りません。子宮奇形と診断されても、治療を受けなくても、8割弱は出産に至っているとの報告があります。

[治療法]

治療は手術によります。

3.抗リン脂質抗体

不育症全体の20%くらいとされています。

抗リン脂質抗体をはじめとする、自分の身体の一部を間違って異物として認識してしまう抗体(自己抗体)をつくることで、血液が固まりやすくなってしまいます。

血液が固まりやすいと、胎盤に血栓が出来て、胎児に血液の供給が不十分になり、流産を引き起こしてしまうのではないかと考えられています。

[治療法]

アスピリンやヘパリンといった薬物療法です。

不育症治療の治療成績

不育症の治療でどれくらい出産に至ることが出来るのでしょうか。厚生労働省の不育症研究班の発表の各治療法の治療成績は以下の通りです。

※染色体異常を除いた妊娠成功率(妊娠数)

・アスピリン 80.2%(241)
・へパリン+アスピリン 84.9%(236)
・へパリン+アスピリン+ステロイド 53.8%(19)
・アスピリン+ステロイド 80.0%(27)
・カウンセリング 79.2%(55)

妊娠数からみると、ほとんどの治療は、アスピリンやアスピリン+へパリンであり、その成功率は80%、85%と、ほとんどが出産に成功しています。

また、特筆すべきは、カウンセリングで80%が流産を克服されていることです。

このデータは、もしも、不育症と診断されても、適切な治療を受ければ、高い確率で出産に至ることが可能なこと、そして、流産を繰り返しても、異常のない「偶発的に流産が繰り返される」ケースが多いことを物語っているのではないでしょうか。

流産を繰り返しても、その内の多くのケースは異常はなく、たまたま、流産が続いただけで、次の妊娠で高い確率で出産に至っています。

また、たとえ、不育症と診断されても、適切な治療を受けることで、高い確率で出産することが出来ているのです。

大切なことは、流産を繰り返したことで、次の妊娠でも同じことがおこるのではないかという、当事者でないと分からない「えも言われぬ不安や心配と向き合っていけるか」ということなのかもしれません。

それでも流産をすることはとても辛い経験だと思います。こうすればいい、と、わかっていても、心がその通りにいくというわけではありません。

ただ、せめて流産や不育症について正しく知り、理解する方が増えることで、少しでも多くのカップルの心がケアされ、不安が希望へとかわることを願います。

参考文献/ 厚生労働省不育症研究班による不育症についてのサイト

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